高精度金型の引継ぎは、なぜ「失敗」しやすいのか
プラスチック製品の中でも、医療機器、精密電子部品、高機能エンプラ製品といった高い寸法精度や信頼性が求められる分野の金型は、その引継ぎが最も難しい課題の一つです。
長年、一社の熟練技術者が製造・メンテナンスしてきた高精度金型には、「公差に収めるための微細な調整ノウハウ」や「複雑な材料の収縮癖を考慮した独自の設計」といった、データ化されていない“秘伝の技術”が詰まっています。
このため、従来の取引先が廃業などで製造を停止した場合、知識のない新しい製造拠点に金型を渡しても、「成形トライを繰り返しても寸法が合わない」「反りや歪みが出て品質が維持できない」といった致命的な問題に直面し、生産ラインが止まってしまうリスクが非常に高いのです。
高精度金型をスムーズに「乗り換え」るための3つの極意
高精度金型を次の製造拠点へ確実に移行し、品質を維持するためには、「情報」と「技術の選定」に対する徹底的な戦略が必要です。
極意 1：引継ぎ時の「製品品質チェックリスト」を必ず作成する
新しい金型製造拠点への移行が決定したら、まずは「現行の金型で成形した製品」の最も厳格な品質基準を明確にしたチェックリストを作成します。
- 重要寸法（クリティカル寸法）の実測データ：新旧の金型で成形した製品を比較する際の、客観的な「合格ライン」を数値で定義します。
- 外観・機能要件：ゲート跡の状態、溶着線の許容範囲、嵌合（かんごう）部の感触など、数値化しにくい要素も文書化します。
このチェックリストを新製造拠点と共有し、新しい金型で成形された製品がこれをクリアするまで、品質の確実な引き継ぎを目指します。
極意 2：金型の「成形プロセス情報」を可能な限りデータ化する
前回のコラムで解説した金型のデジタル資産化に加え、高精度金型の場合は「成形プロセスの情報」も重要です。
- 成形条件データ：過去の安定した成形時の樹脂温度、射出速度、保圧、冷却時間などのデータを収集します。
- 材料ロット情報：使用材料のロットごとの粘度やグレードが、成形結果に影響しなかったかの記録も、引き継ぎ時のトラブルを未然に防ぎます。
これらのデータは、新しい製造拠点が「ゼロからトライを始める時間とコスト」を劇的に削減するための鍵となります。
極意 3：難易度の高い成形実績を持つ「技術特化型」の製造拠点を選ぶ
高精度金型の引継ぎ製造を依頼する場合、安価さや納期だけで判断してはなりません。その製造拠点が、御社の製品と同等以上の難易度の高い材料（スーパーエンプラなど）や複雑な形状の成形実績を豊富に持っているかを見極める必要があります。
ホワイトギルドの強みは、この「技術特化型」の製造ネットワークにあります。
ホワイトギルドの「品質リスク最小化」保証体制
私たちホワイトギルドは、高精度金型の引継ぎにおいて、品質リスクを最小化する独自の体制で対応します。
- 高難度対応技術者の選定：弊社ネットワークの中から、精密金型製造の経験が特に豊富で、最新の解析技術を駆使できる製造拠点を責任をもって選定し、製造を依頼します。
- 新旧製品の比較検証の徹底：引継ぎ製造後のトライアル成形では、必ずお客様の現行製品と、新しい金型で成形した製品の重要寸法を比較検証します。この段階で品質が保証されるまで、責任を持って調整を行います。
- 「高精度金型がどこに頼めない」不安の解消：金型業者の廃業で「頼る先がない」と諦める必要はありません。私たちホワイトギルドが、技術と品質を保証する形で、御社の高精度金型を次の安定供給体制へとスムーズに乗り換えさせます。
高精度が求められる製品だからこそ、手遅れになる前に、金型引継ぎのプロであるホワイトギルドにご相談ください。