1ヶ月に生産できる数を増やす為に発注側と受注側でできること

成型基礎知識

はじめに

プラスチック成形業界において、生産効率の最大化は発注者と受注者双方にとっての重要課題です。短納期化や多品種小ロット生産といった市場ニーズが高まる中で、「1ヶ月に生産できる数量をどう増やせるか」は現場の大きなテーマとなっています。本記事では、発注側・受注側それぞれの立場でできる具体的な改善ポイントを取り上げ、実務に役立つノウハウをご紹介します。


発注側でできる5つの改善策

1. 設計段階から成形性を考慮する

製品設計が複雑すぎると、金型の構造も複雑になり、成形に時間がかかるだけでなく不良率も増加します。アンダーカットの削減肉厚の均一化デザイン簡素化など、金型・成形の専門家と連携して設計段階から相談することで生産性は飛躍的に向上します。

2. 発注のタイミングを前倒しする

生産計画の余裕がないと、受注側が段取り替えや人員調整に追われます。1〜2ヶ月前の予測発注や年間予定数量の提示を行うことで、受注側も最適なスケジューリングが可能となり、稼働率が高まります。

3. ロット統合・一括発注の検討

1回ごとの小ロット発注では段取り替えの頻度が増えて効率が下がります。複数月分の生産をまとめて発注し、在庫管理は自社で行うなどの対応も生産効率化に寄与します。

4. 納期の柔軟性をもたせる

「この日でなければならない」という厳格な納期では、工程がひっ迫し、ラインの柔軟性が失われます。納期に幅を持たせた協力体制が、結果的に生産可能数量の最大化を可能にします。

5. 金型メンテナンス予算の支援

使用頻度が高まれば金型のメンテナンスも必要です。金型の維持費用を一部負担する定期点検契約を結ぶといった方法で、長期的な生産性を支えることも可能です。


受注側でできる5つの対策

1. 成形サイクルタイムの短縮

成形機の条件出し(温度・圧力・冷却時間)を最適化することで、サイクルタイムの数秒短縮が1日・1ヶ月単位では大きな差になります。センサー付きの成形条件監視も効果的です。

2. 多型・多取金型の活用

1ショットで複数個取りできる多取型金型キャビ数を増やすことで、単位時間当たりの生産量が大幅に向上します。金型設計の段階からこの方針で進めることが重要です。

3. 自動化設備の導入

取り出し機やランナー自動切断装置、包装の自動化など、人手に依存しない仕組みを増やすことが生産数向上に直結します。特に夜間の無人運転を可能にする設備は効果大です。

4. 夜勤・24時間稼働体制の構築

昼勤のみの工場と比べ、交代制で24時間稼働が可能であれば生産能力は2倍以上になります。人材確保や教育、モチベーション維持の体制づくりも鍵となります。

5. 設備保全の徹底と予防保守

突発的な設備停止は最も大きな生産ロス要因です。定期メンテナンスや設備データの見える化によって、故障の予兆を早期に察知し、ダウンタイムを最小限に抑える工夫が求められます。


発注者・受注者の「協働」によるシナジー

上記に挙げたそれぞれの施策は、片方の努力だけでは限界があります。本当に生産数を最大化するには、お互いの事情を理解し、共通目標として取り組む協働関係が必要です。

  • 生産計画の事前共有
  • 金型設計段階からの打ち合わせ
  • 品質基準のすり合わせ
  • 長期取引を見据えた設備投資判断

こうした継続的なコミュニケーションと信頼構築が、生産性だけでなく品質や納期、コストといった他の指標にも好影響を及ぼすのです。


まとめ

1ヶ月あたりの生産数を増やすことは、単なる「数をこなす」ことではなく、発注側と受注側が共に生産性を意識した取り組みを実行することによって実現されます

  • 発注側は「設計」「タイミング」「発注量」「納期調整」「支援体制」
  • 受注側は「条件最適化」「金型戦略」「自動化」「稼働体制」「保守体制」

これらの改善点を具体的に実行していくことで、高効率で持続可能な成形ビジネスが実現できるでしょう。

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