プラスチック成形の分野では、生産性の最大化が取引先選定の重要なポイントです。特に近年、短納期や大量生産のニーズに応えるために、「高速成形機」の導入を検討する企業が増えています。本コラムでは、高速成形機による生産効率の向上について詳しく解説し、「どれくらい生産数が増えるのか」という問いに対し、具体的なデータと実務視点で回答します。
高速成形機とは何か?
高速成形機とは、一般的な成形機よりも射出速度や冷却速度が高く、サイクルタイム(1ショットの成形にかかる時間)を短縮できる成形機です。
主に以下の特徴があります:
- 高速射出(高スピードで樹脂を金型に充填)
- 高圧保持(複雑な形状や薄肉製品に適応)
- 急速冷却(成形品の取り出し時間を短縮)
- 高剛性・高精度の金型との併用が前提
これらの性能により、通常の成形機に比べて30〜70%程度のサイクル短縮が可能とされています。
生産数への影響:具体的な例
例えば、以下のような条件で比較してみましょう。
項目 | 一般成形機 | 高速成形機 |
1ショットのサイクル | 30秒 | 15秒 |
1時間あたりのショット数 | 120回 | 240回 |
1日(8時間)あたりの成形数 | 9,600個 | 19,200個 |
このように、単純な計算でも2倍の生産数が可能です。もちろん、製品形状、材料の流動性、金型設計などの要因によってこの差は前後しますが、少なくとも1.5倍程度の効率化は期待できます。
高速成形機を導入するメリット
1. 大量ロット対応力の強化
月産10万個を超えるような製品では、生産ラインの稼働時間を短縮しつつ納期を守れる体制が求められます。高速成形機を使えば、1ラインでこなせる数量が増え、ライン追加コストを抑制できます。
2. 金型寿命の延長効果も
高速成形と聞くと「金型に負担がかかるのでは?」と不安になるかもしれませんが、近年の高速機はスムーズな圧力・速度制御が可能なため、金型の摩耗を抑える設計がされています。
3. 高精度成形と歩留まり向上
高速成形ではフラッシュ(バリ)や焼け、変形などの不良率を抑える制御技術も進んでおり、成形品の品質を安定させながら生産数を向上させることができます。
導入前の注意点
高速成形機を効果的に活用するためには、以下のような準備が必要です:
- 金型の冷却設計が最適化されているか
- 使用する樹脂材料が高速成形に対応しているか
- 成形条件の自動最適化機能(AI成形支援)を搭載しているか
- オペレーターが条件設定やメンテナンスに習熟しているか
また、短時間での量産が可能になる反面、不良の発生速度も早くなるため、インライン検査体制の強化も並行して進める必要があります。
新たな取引先をお探しの企業様へ
当社では、高速成形機を活用した量産対応体制を整え、月間数万〜数十万個レベルの製品についても短納期・安定品質で納品可能です。さらに、AI成形支援システムによる歩留まり最適化にも対応しており、サステナブルで効率的な製造を実現します。
まとめ
- 高速成形機は、サイクルタイムを30〜70%短縮できる。
- 生産数は一般成形機に比べて1.5〜2倍増加するケースが多い。
- 導入には、金型設計や材料適正、オペレーターの教育が重要。
- 品質・コスト・納期のバランスを取りながら、大量生産にも柔軟に対応可能。
高速成形機の活用により、成形ビジネスの競争力強化が期待されます。新たなサプライヤー選定をご検討中の企業様は、ぜひ一度当社にご相談ください。